近年増加し続けているコンタクトレンズが原因で発症する目の病気です
コンタクトレンズは無理な装用や、自己流の雑な管理が続くと、目には大きな負担がかかり、目の病気につながります。
中でも近年増加しているのが、「アカントアメーバ角膜炎」。
角膜が融解して失明に至ることもある、恐ろしい目の病気です。
原因
アカントアメーバ角膜炎の感染者はほとんどがコンタクト使用者です。
原因となるアカントアメーバは、土の中にも、水の中にも、ごく普通にいる原生生物です。
家の中のほこりにも、水道水の中にも存在しています。
アカントアメーバは健康な角膜には侵入できないため通常は無害です。
しかし、コンタクトレンズを装用していると角膜に傷がつきやすくなり、その傷からアカントアメーバが侵入します。
また、アカントアメーバは、細菌をエサにしているので、保存液の交換や擦り洗いを怠って消毒ができていなかったり、レンズケースを定期的に交換していないなど、レンズやレンズケースが細菌に汚染された状態で放置すると、大繁殖して角膜に感染しやすくなるのです。
症状
目の痛みや目やに・異物感などの症状があり、人によっては強い痛みを感じることもありますが、初期では自覚症状があまりなく、ゆっくりと進行します。
そのため異変を感じて病院に行ったときにはかなり進行していることも少なくなく、また、初期症状が角膜ヘルペスや角膜真菌症と似ているため、診断が難しい病気と言われています。
進行すると慢性的な目の充血、強い痛み、視力低下が現れ、ひどい場合は角膜の中央が白く濁り、角膜に孔(あな)が開いたり視力低下が進行して失明に至ることもあります。
通常は片眼の目だけにおこしやすい疾患です。
治療
アカントアメーバ角膜炎を起こす確率は相当に低いのですが、いったん感染すると良く効く薬がなく、厄介です。
現在のところ抗真菌薬や消毒薬を点眼し、直接アメーバに侵された角膜を削って取り除くという治療がされていますが、完治するまで数カ月かかることもあります。
また、なんとか完治したとしても角膜に大きく傷が残ってしまい、視力が戻らないことがあるため、角膜移植術が必要となることもあり、難治性の病気とされています。
このようにアカントアメーバ角膜炎にかかると治療が難しいため、日頃から正しいコンタクトレンズケアを行い、予防をすることが最善策になります。